複数の借入れ先を一本化して、借りたお金を効率的に管理できるのが「おまとめローン」です。
おまとめローンを使えば返済額が少なくなるというイメージもありますが、場合によっては返済額が増えてしまうので、利用する前にメリットやデメリットなどを確認しておきましょう。
そこで今回は、主に次の内容をわかりやすく解説していきます。
複数のカードローン会社から借入れをして困っているという方は、ぜひ参考にしてください。
おまとめローンとは、複数のローンを一本化して効率的に返済するための商品です。使い方次第では、毎月の返済額と借金総額の両方を減らすことができます。
多くのローンやキャッシングを使っていると、借入れ先ごとに返済する手間もかかりますよね。各社の借入額が少なくても合計支払額は大きくなるので、全社への返済が厳しくなることもあるでしょう。
このようなときに役立つのが、すべてのカードローンを一本化できる「おまとめローン」です。
借り換えとは、お金の借入れ先を変更することを指します。例えば、金利18%のA社から、金利12%のB社に借入れ先を変えるような場合が「借り換え」です。
一方、おまとめは、複数社からの借入れを1社にまとめることを指します。
「金利が低い金融機関に借り換える」という意味は同じですが、厳密には異なるので覚えておくといいでしょう。
ただし、業者によっては「おまとめ」と「借り換え」を同じ意味で使っていることもあります。
おまとめローンを利用すると、次のようなメリットがあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
複数社からの借入れを、金利の低いローンに一本化すれば、借金の総返済額を減らすことができます。具体的な例を見てみましょう。
※おまとめ前借入額 | 年利 | 返済日 | 毎月の返済額 | 総返済額合計 | |
---|---|---|---|---|---|
A社 | 30万円 | 18% | 10日 | 1万円 | 399,463円 |
B社 | 50万円 | 15% | 25日 | 1万円 | 781,979円 |
C社 | 20万円 | 18% | 15日 | 8,000円 | 251,562円 |
上記例の場合、3社を合計した毎月の返済額が28,000円、総返済額の合計は143万3,004円になります。
※おまとめ後借入額 | 年利 | 返済日 | 毎月の返済額 | 総返済額合計 | |
---|---|---|---|---|---|
おまとめローン | 100万円 | 12% | 25日 | 2万円 | 1,384,715円 |
おまとめローン利用後は、借金の総返済額が138万4,715円に減っています。毎月の支払額も28,000から20,000円になります。
返済日を25日で統一できるのも嬉しいポイントです。支払日が何度もあると手間がかかるだけではなく、返済忘れもしやすくなります。また、支払い期日までに返済しなければ、利息とは別に「遅延損害金」も発生します。しかし、返済日をまとめれば、このようなリスクを回避できるようになります。
個人の借入れ状況は、クレジットやローンなどの信用情報を管理する「信用情報機関」に記録されています。ローンなどの審査では必ず信用情報機関への照会が行われますが、借入れ先が多いと「多重債務者」とみなされて、審査に悪い影響を及ぼす可能性があるのです。
しかし、おまとめローンを利用すれば「1社からの借入れ」に整理できるため、住宅ローンや教育ローンなどを借りる際の悪影響を少なくできます。
カード会社や消費者金融は「貸金業法」の規定に基づいて融資を行っています。そのため、「総量規制」に抵触する年収の3分の1を超えた融資はできません。しかし、おまとめローンは「例外貸付」に該当するので、借入額が年収の3分の1を超えてもローンを組むことができます。
ただし、おまとめローンで借りたお金は総量規制の対象となるため、おまとめローンの利用中は他社でお金を借りられなくなると思った方がいいでしょう。
借金の整理に便利なおまとめローンですが、思わぬトラブルを防ぐためには下記のようなデメリットを確認しておくことも大切です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
おまとめローンは「確実な完済」を目的とした商品であるため、繰り返し利用することはできません。通常のカードローンなら返済後や返済中でも限度額内でお金を借りられますが、おまとめローンは基本的に「返済専用」となります。
追加での借入れに対応している商品もありますが、おまとめをした意味がなくなってしまうので、無理のない返済計画を立てたうえで活用するようにしましょう。
下記のようなケースでは、おまとめローン利用後に返済総額が増えてしまうことがあります。
消費者金融のおまとめローンでは、「銀行カードローン」と「クレジットカードのショッピングリボ」は、対象外となります。基本的には、他貸金業者からの借入れに限られると思った方がいいでしょう。
ただし、下記の消費者金融系おまとめローンは、さまざまなローンに対応しています。
商品名称 | おまとめの対象ローン |
---|---|
アイフルおまとめMAX | ・銀行、貸金業者からの借入れ債務 ・クレジットカードのキャッシング枠 ・銀行カードローン ・クレジットカードのショッピングリボ |
なお、銀行系のおまとめローンには制約がないため、他の銀行ローンや消費者金融の借入れ債務、クレジットカードのキャッシングなどの一本化も可能です。
おまとめローンの利用が向いているのは、主に次のような人です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
債務整理をすれば借金の額が減ったり、ゼロになったりする可能性はありますが、信用情報機関に事故情報が記録されて「ブラックリストに載っている」と呼ばれる状態になります。
ブラックリストに載っている間は、下記のようなことができません。
など
事故情報が消えるまでには5年から10年という長い期間がかかるので、将来的にローンやクレジットカードを利用する計画がある人は、おまとめローンを利用した方がいいでしょう。
おまとめローンを利用するかどうか悩んでいる人は、「借入れ総額100万円」を基準にして考えるといいでしょう。カードローンは、借入額が多くなるほど上限金利が低くなるように利息制限法で定められています。
貸付金額 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 年20.0% |
10万円以上100万円未満 | 年18.0% |
100万円以上 | 年15.0% |
重視されるのは「貸付金額」なので、借入額の合計が100万円以上でも、各社の借入額が少額だと上限金利は高くなってしまいます。
借入額 | 年利 | |
---|---|---|
A社 | 9万円 | 20% |
B社 | 50万円 | 17% |
C社 | 43万円 | 18% |
しかし、おまとめローンを利用すれば1社から100万円以上を借りている形になるので、上限金利が15%に下がります。
ここからは、おまとめローンを契約する前に知っておきたい注意点を3つご紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
おまとめローンに申込む時点で多重債務者でるため、審査が厳しくなるのは当然とも言えます。ただし、返済能力があればそれほど心配する必要はありません。
年収が200万円でも、借入額が少なければ審査に通る可能性はあります。逆に、年収が800万円でも、借入総額が年収の3分の1を超えていれば、審査に通過するのは難しくなります。
おまとめ専用商品だからといって、通常ローンよりも金利が低いとは限りません。金利が低いと決めつける前に、一般的なカードローンとの金利も比較したうえで、おまとめローンへの申込みを検討しましょう。
おまとめローンを装った詐欺も少なくありません。詐欺には、主に下記のような手口が使われます。
このような要求に応じると、余計な金銭的被害が発生してしまいます。被害を防ぐためにも、ダイレクトメールや電話で勧誘してきた業者の利用はやめましょう。自分で情報を集めて業者を選ぶことが何よりも大切です。
それでも怪しいと感じた場合は、金融庁の「登録貸金業者情報検索」に登録されているかどうかをチェックしてください。
今回ご紹介した内容をまとめると下記となります。
おまとめローンには「簡単に借金を減らせる」というイメージもありますが、実際にはデメリットも多いです。また、審査が厳しく、そもそも借りることができないというケースも起こります。
思わぬトラブルを防ぐためにも、今回ご紹介したデメリットや注意点を理解したうえで、おまとめローンを利用するようにしてください。